横山1   横山2

 28年前に私が制作にかかわったPR映画「雪とたたかうーある電話駐在員の半生ー」(24分)がインターネットで見られるようになったことは、3年前にこのブログでお知らせしましたが、その後一時メニューから外されたのが最近復活しました。この映画を企画した日本電信電話公社東北電気通信局福島電気通信部(長い!)、現在の東日本電信電話株式会社福島支店(やっぱり長い!)、通称NTT東日本福島支店ホームページの「動画でわかる通信の軌跡」の中にあります。
http://www.ntt-east.co.jp/fukushima/doga_story/index.html

 メニューではサブタイトルを「通信を守る」と変えていますが、映画の中身は前のままです。なるほど「ある電話駐在員の半生」では電話会社のPRに直接は結びつきませんが、雪から通信を守るという内容は今もPR効果があるということなのかもしれません。
 それにしても、なぜ当時の電電公社の地方部局が「ある電話駐在員の半生」などというドキュメンタリー映画をつくったのか。私の知り得たところによると実はこうなのです。
 
 当時、つまり70年代末、電電公社の労働組合「全電通」の中でも福島支部は大きな力をもっていて、管理者にとって悩みの種だった。そこへトップとして赴任して来た福島電気通信部長が、豪雪地帯の電話駐在員横山さんが退職を前に職員研修会で語った話を聞いて感動した。やれ超過勤務だ、やれ過重労働だと文句をいい要求ばかりする組合員に対して、横山さんの電話マンとしての誇り、気概、そして何よりも「言う前にやるべきことをやれ」という責任感の強さを、お説教でなく事実で示せば説得力がある、と思いついた彼は、即刻、横山さんのドキュメンタリーを作って職員研修、新人研修などに使うことを決めた、というわけなのです。

 記録映画社から請け負った私が現地調査とインタビューを行い、それに基づいてベテラン監督上野大梧さんがシナリオを書き、目的が目的ですからできる限りシナリオに基づいて再現する方式で、撮影の藤井敏貴キャメラマンには現場の演出も頼みました。例年より雪の少ない冬でしたが、現地の皆さんの全面的協力を得て一週間のロケを終え、その後は私が編集、ナレーション書き、録音などの最終仕上げを担当しました。監督として発注者の企画意図を意識しましたが、意識しすぎて、エンディングなどもっとさりげなく心に響くようにできなかったかと今更ながら悔やんでいます。
 出来上がった映画が実際に職員研修でどう受け止められたか、組合対策にどう効果を上げたかは聞いていません。しかし、制作目的からもこの映画が労働現場で意図的に使われたことは確かですから、今こうしてインターネットで見られる状況で、しらばっくれるわけにはいきません。この映画はこれで良かったのか?と自問自答しています。(このサイトは時々変わるようなのでぜひお早めにご覧いただき、コメントなどいただければ嬉しいです)
尚、3年前のブログは下記にあります。
http://ameblo.jp/eizoryoku/entry-10002025969.html#cbox